【詳しく解説】音声形式WAVとFLACの違いを比較!音質の差も!
音楽や音声ファイルを扱う際に、「WAV」と「FLAC」という2つの音声形式を目にしたことがあるかもしれません。
それぞれの特徴や用途は異なり、選び方によって音質やストレージの効率が変わります。
本記事では、WAVとFLACの違いを詳しく解説し、どちらを選ぶべきかについてわかりやすく説明します。
目次
(1)WAVとは?FLACとは?
(2)【比較表つき】WAVとFLACの違いはこれ!
(3)WAVとFLAC間で変換は可能?
(4)WAVとFLACのどちらを選ぶべき?知っておきたいそれぞれのメリット
(1)WAVとは?FLACとは?
まずは、WAVとFLACは何のことについて解説します。
1. WAVとは
WAV(Waveform Audio File Format)とは、音声データを記録するためのファイル形式の一つ。
1991年にマイクロソフトとIBMによって開発された「RIFF(Resource Interchange File Format)」をベースにしており、Windowsが標準で対応している形式として有名で、ファイル名の標準の拡張子は「.wav」。
この形式は、音声データを非圧縮のPCM(Pulse Code Modulation)形式で保存することが主流であり、録音された音声の波形をそのまま忠実にデジタル化する特徴があります。
当時、音楽制作やプロの音声編集などで高音質が求められていた背景から誕生し、録音スタジオや放送局などで広く利用されるようになりました。
2. FLACとは
FLAC(Free Lossless Audio Codec)は、音声データを無劣化で圧縮できる形式として2001年に登場しました。
オープンソースとして開発され、圧縮率が高いながらも音質を一切劣化させない点が特徴です。
その誕生は、CD音質をそのまま保存しつつ、ストレージ容量を節約したいというニーズが高まっていた時期に一致します。
特に音楽の長期保存やアーカイブに適しており、対応デバイスの増加とともに普及が進みました。
FLACは、現在も多くの音楽配信サービスやデジタルオーディオプレーヤーで利用される標準的なフォーマットの一つです。
(2)【比較表つき】WAVとFLACの違いはこれ!
次に、WAVとFLACの違いを音質・圧縮方式・ファイルサイズ・互換性・メタデータの項目別に表を使って紹介します。比較して検討する材料にしてください。
比較項目 |
WAV |
FLAC |
圧縮の有無 |
非圧縮 |
可逆圧縮 |
音質 |
無劣化 |
無劣化 |
ファイルサイズ |
非常に大きい |
小さめ |
対応デバイス |
多くのデバイスで対応 |
一部の機器で制限あり |
メタデータの取扱 |
自由度の低い |
自由度の高い |
編集のしやすさ |
優れている |
比較的編集に不向き |
1. 音質
WAVとFLACの音質に関する違いは、データの取り扱い方に起因します。
WAVは非圧縮形式で、音声データをそのまま保存するため、録音時の信号が一切劣化しません。これは、音楽制作やプロの録音現場で重要視される理由であり、データがそのまま扱われるため、信号処理や音響解析の際にノイズや情報損失のリスクが最小限に抑えられます。
一方、FLACは可逆圧縮形式で、ファイルサイズを小さくしながらも元の音声データを完全に復元可能です。
理論上は音質に違いがありませんが、実際の再生環境やハードウェアの性能によっては、FLACのデコード処理が影響を及ぼす場合があります。
特に高解像度の音源や複雑なマルチチャンネル構成の場合、デコードにかかる処理時間やリソースが音質に微細な影響を与える可能性が指摘されています。
基本的に、人間の耳で感知できるほどの違いはほとんどなく、どちらを選んでも、CD音源以上の高音質を体験できるでしょう。
2. 圧縮方式
音声ファイルの圧縮方式には、「非圧縮」、「非可逆圧縮」、「可逆圧縮」と3種類があります。
- 「非圧縮」:音声データをそのままデジタル化して保存する方式で、データの劣化が一切ありません。(代表的な形式:WAVやAIFF)
- 「可逆圧縮」:音声データを圧縮してファイルサイズを小さくしながらも、データを完全に復元可能な方式です。(代表的な形式:FLACやALAC)
- 「非可逆圧縮」:データ容量を大幅に削減するために、人間の聴覚で気付きにくい音声データを意図的に削除する方式です。(代表的な形式:MP3やAAC)
結論から言えば、
- 音質を最優先する: 非圧縮
- ストレージ容量を節約したい: 非可逆圧縮
- 高音質を維持しながらファイルサイズを縮小したい: 可逆圧縮
3. ファイルサイズ
WAV形式は、非圧縮のため音質は非常に高いものの、ファイルサイズが非常に大きくなってしまいます。
例えば、1分間の音声データであっても、ステレオ44.1kHz/16bitの設定で約10MB程度に達し、長時間の録音や大規模な音源の保存には膨大なストレージが必要です。一方、FLACは可逆圧縮を採用しており、同じ音声データを約50%程度まで圧縮することが可能です。これは、データの不要な冗長性を削減しながらも、元の音声を完全に復元できる高度な圧縮技術によるものです。
ただし、FLACの圧縮率は音声の内容や特性によって変動し、静かな音源や単調な音声ではより高い圧縮率が得られる一方、複雑でダイナミックな音源ではファイルサイズが大きくなる傾向があります。
とにかく、ストレージ効率を重視する場面ではFLAC形式は非常に魅力的な選択肢です。
4. 互換性(対応OS)の違い
互換性は、WAVとFLACで大きく違います。
WAVは、マイクロソフトとIBMによって開発され、WindowsをはじめとするほとんどのOSや音声編集ソフトでネイティブにサポートされています。
特にWindows環境では標準的なフォーマットとして広く利用されており、互換性の面で非常に優れています。
一方、FLACはオープンソースのフォーマットとして開発され、Windows、macOS、Linuxなど多くのプラットフォームで広く対応していますが、一部の環境では専用のデコーダーやプラグインが必要になる場合があります。
また、Appleのエコシステムでは、FLACのネイティブサポートが限定的であり、ALAC(Apple Lossless)が推奨される傾向があります。
このため、FLACはクロスプラットフォームでの互換性が高いものの、特定のエコシステムでの利用には注意が必要です。
5. メタデータ
WAVとFLACのメタデータの取り扱いには大きな違いがあります。
WAVは本来、音声データを非圧縮で保存することを目的として設計されており、メタデータの管理機能は限定的です。
基本的な情報(タイトルやアーティスト名など)の保存は可能ですが、その形式や互換性が標準化されておらず、他のソフトウェア間でのやり取りがスムーズに行えない場合があります。
一方、FLACは設計当初からメタデータの柔軟性を重視しており、Vorbisコメントを使用することで、楽曲情報、アルバムアート、ジャンル、歌詞など、幅広いメタデータを効率的かつ一貫性を持って保存できます。
また、FLACはメタデータの編集や追加が簡単であり、これが音楽管理や整理において大きな利点となります。
そのため、メタデータの扱いが重要な場面では、FLACが優れた選択肢といえます。
(3)WAVとFLAC間で変換は可能?
音声形式は、WAVとFLACの双方の変換が可能です。
変換の方法はいくつかありますが、ここではPCソフト(例:Winxvideo AI)を使った変換方法を説明します。
- 1. Winxvideo AIを起動して、「変換」アイコンをクリックします。
- 2. 画面上部にある「音楽」をクリックして、パソコンから変換したいWAVまたはFLACファイル(複数も可能)を選択して読み込みます。
- 3. 画面下の「音楽」タブから、変換後のフォーマットを選択します。
- 4. この状態で画面右下の「RUN」を押せば、変換が開始されます。変換終了後に、保存先のフォルダーが自動的に開くのですぐ確認できます。
(4)WAVとFLACのどちらを選ぶべき?知っておきたいそれぞれのメリット
WAVとFLACの選択は、用途やニーズに応じて適切なものを選ぶことが重要です。
WAVは非圧縮形式であり、音声データがそのまま保存されるため、音質が完全に保持されます。
このため、音声編集や録音スタジオ、プロの音楽制作など、データの完全性が求められる場面で最適です。
また、互換性が高く、ほとんどのソフトウェアやハードウェアで即座に利用できる点もメリットです。
一方、FLACは可逆圧縮形式を採用しており、音質を損なうことなくファイルサイズを大幅に削減できるため、ストレージ容量を節約したい場合や音楽の長期保存に適しています。
さらに、FLACはメタデータの取り扱いが柔軟で、曲名やアルバム情報などを管理しやすいという利点もあります。
つまり、編集やプロ用途ではWAV、効率的な保存や日常的な音楽鑑賞ではFLACが推奨されるといえるでしょう。
この記事を書いた人:小林ほたる
本ページの内容に関して、ご意見等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。